第1章 馴れ初め
「このクソ男!もう二度と私の前に現れないで!」
「そんなこと言うなよジュリアナ、なに怒ってんだ?一旦落ち着くためにジュリアナちゃんの部屋行こうぜ?な?」
「行くわけないでしょ!大体アンタはーーー」
クラウスさんと行こうとしていた店内から激しい男女の言い争いの声が響く。
見目の美しい女性が銀色の髪をした褐色の肌の男性に怒りを抱いているのか、男に対する罵声が止むことがない。
店に入らなくても聞こえてくる話をかいつまむとに、銀髪の男は女性に対し好きだと言いヒモ男として養ってもらっていたのに他にも女性不特定多数とも同じように付き合っていた、みたいなクズのような話だった。
こんな話をBGMにしながら食事なんて出来そうにない。
候補の店が両方とも行けないなんて、とても困ったことになった。
「こんな状態では入れそうにないですね…」
「………す、すまない…」
「え?なんでクラウスさんが謝っているんですか?」
クラウスさんを見ると胃でも痛いのか体を守るように大きな背中を丸めている。
いったい彼はどうしたのだろう。さっきまで体調は悪そうではなかったのに。
彼は少しふらふらとしながら歩き出したのでそれについていく。
よくわからないけど具合の悪そうな彼が心配なのでとにかくどこかに入って休んで貰わないと。
慌てて周りを見渡し、目についた店に入店するのであった。