【コナン・まじ快】薔薇を食べる【工藤新一・黒羽快斗】
第5章 6月
「ただいまー」
ポアロから帰った私は寝不足も相まって少し夢見心地のまま帰宅する。女子高生達元気だったなぁ、そんなに歳は離れてないけどなんだかとても若いなと思った。それにチケットあげた子達すごく可愛った…席隣だし会ったら話しかけてみようかな、多分同い年くらいだろう。
欠伸を噛み殺しながら靴を脱いでいると快斗が来た。私を見て嬉しそうに両手を広げるのでクスリと笑ってその腕の中に飛び込む。
「おかえり」
「ただいま」
「んー、コーヒーの匂い…ポアロだな?」
「せーかい、可愛い子達がいたから快斗のチケットあげて布教してきたよ」
「ん?優子ちゃんと佳奈ちゃんにあげるはずじゃなかったの?」
「優子が、初日と2日目取れたらしくて…1人でも他のファンに見してあげてだって。会ったら手でも振ったあげて?多分、泣くと思うけど」
快斗の大ファンである友人を思い浮かべて笑う。彼女の快斗好きは純粋に尊敬できる。
「さすが優子ちゃん、サービスしてあげないとな。じゃあ、手洗って来いもう少ししたら飯出きっから」
「はーい」
軽いキスをし、広い家を練り歩く。洗面所で手を洗いメイクを落として長い廊下を歩いていると、あんずが廊下のすみで寝転んでいて思わず頬が緩む。すやすやと寝ているのでゆっくり横を通っていく。冷たい廊下が気持ちいいのだろう。
リビングに行くとソファーに座る新ちゃんの後頭部が見え、吸い寄せられるように彼の横に座り、何を読んでいるんだろうと彼の肩に寄りかかって本を覗く。
「おけーり」
「ただいま、ねぇ新ちゃんそれ私の本?」
「おー、借りた」
「うん、まぁいいけど…新ちゃん心理学に興味あったの?」
「少しだけな」
その本は、過去の心理実験の内容が乗っている本で昔行われた実験は被験者の心に傷を残すレベルのものばかりで読んでいてあまり気持ちがいいものではない。
「この本よりも人体構造とその不思議とか生物の役割って本の方が新ちゃんは面白いんじゃない?」
「んー、じゃあ今度それ読んでみる」
「新ちゃんの部屋に置いとく。あ、ねぇ緋色の研究読ましてー、また読みたくなった」
「おー、原文の方貸してやるよ」
「えぇー、翻訳版がいいー」
顔を顰めた私を笑って、新ちゃんは私の頭を撫でた。