【コナン・まじ快】薔薇を食べる【工藤新一・黒羽快斗】
第5章 6月
衝撃で目眩がしそう。
「新ちゃん知り合いだったの?」
「前話した幼馴染だよ。もしかして、オメーがチケット渡した相手って蘭達だったのか」
「うん。そっか、蘭ちゃんと園子ちゃんが新ちゃんの幼馴染だったんだね」
「桃さんの彼氏ってもしかして…」
まさかと園子が桃さんに聞くと彼女は頷き、新一の腕を抱いてと笑顔で私達に「そうだよ」と返した。
「蘭」
「新一…」
「蘭にはちゃんと紹介するつもりだったんだ。まさかこんな偶然があるなんてな」
そう笑った新一は凄く幸せそうで、目を合わせて微笑む2人はとてもお似合いだった。そっか、新一はちゃんと前に進んでいて指輪を送るような相手を見つけていたのだ。
「もう!びっくりしたよ。素敵な恋人が出来て良かったね」
良かった連絡しなくて。本当に良かったと安堵する。引き摺っていたのは自分だけだったと寂しくなったけど、彼を手放したのは自分だから私の役割は祝福してあげることだ。
「2人の邪魔しちゃ悪いし、行こっか園子」
「え、うん」
「あ、蘭ちゃん園子ちゃんまた明日ね」
「また明日」
可愛らしい笑顔で手を振る彼女に手を振り返して私は園子と共にその場を去っていく。
部屋まで無言が続いて、部屋に入ると力が抜けて畳の上に座り込んだ私を園子が心配したように声をかけた。
「ちょっと!蘭!大丈夫!?」
「…大丈夫」
「………蘭、新一くんにはちゃんと言った方がいいよ」
「でも…」
「振られるかもだけどね…蘭の為にも言いなさいよ。その方がスッキリするわよ!そしたらもっといい男捕まえられるわよ!」
自分の胸をバーン!と叩いて笑った園子に私は思わず笑顔になる。
「うん…そうだね。新一に私の気持ちだけでも伝えてみるよ」
少しだけ、ほんの少しだけ思ってしまう。
あの時、新一に別れを告げなかったらあの隣で笑っていたのは私だったのだろうかと。いや、きっと違う。新一の笑い方がどこか違った雰囲気も彼女への接し方も…桃さんが大切なのだと体全体で伝えてるかのようだった。初恋は実らないというのは本当らしい。