【コナン・まじ快】薔薇を食べる【工藤新一・黒羽快斗】
第4章 5月
食後には、ケーキが運ばれてきてロウソクが刺さりプレートに『Happy Birthday』と描かれていて、とてもテンションが上がった。
ロウソクの火を吹き消すと、スタッフさんが笑顔で「おめでとうございます」と言い、シャンパンをいれてくれた。
「素敵です」
「気に入ってもらえて良かったよ」
お義父さんが嬉しそうに笑うと快斗が「Happy Birthday」と言って白い箱を取り出した。彼が蓋をあけると真珠のピアスが入っていた。
「20歳の誕生日おめでとう桃…これが俺からのプレゼント」
「ありがとう……凄く素敵…!」
「さすが、快ちゃんセンスバッチリね」
有希子お義母さんが快斗にウインクを送る。
快斗は、ニッと笑うとパチンと指を鳴らした。すると、彼の手には薔薇の花束があり目を見開く。
「101本の薔薇の花言葉は、"これ以上ないほど愛しています"…桃のこれからが幸せであるよう頑張るよ」
私の頬を撫でて、耳に触れたあと僅かに感じた重みに驚いて耳に触れるとピアスがつけられていた。花束を受け取り、快斗を見て私は込み上げてきたものを必死に堪えて笑顔をつくる。
「ありがとう…私も同じよ」
「最終的には999本送ってやるよ」
「ふふっ、腕鍛えなきゃ」
「桃」
名を呼ばれて、新ちゃんの方を見ると彼は黒い箱の蓋を開けながら目を泳がせる。
「快斗みたいな事はできねぇけど…」
「靴?」
「……似合うと思ったんだ」
「しかも、私が好きなブランド…覚えててくれたんだ」
「……まぁな」
涙腺がそろそろやばくなってきた。ムズムズするような込み上げてくるこの気持ちはなんだろう。
「今度、それ履いてどこか一緒に出かけよう…な」
どこか照れくさそうに新ちゃんがそういうので、私は我慢出来なくなって涙を流した。
「うん……ありがとう…しんちゃ…かいと」
大切な人に誕生日を祝ってもらい、私の為にと選んでくれたプレゼント。幸せすぎて、おかしくなってしまいそうだ。なんて、愛おしくて暖かな時間だろう。この素晴らしい一日を私は絶対に忘れない。