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忠心 -甲鉄城のカバネリ-

第3章 水


俺の腰にかかった剣を、彼女は物珍しげに見た。

「いや…普通の剣では心臓を貫くことは出来ない。
これは特別に加工した剣だ。」

「特別な加工?」

「カバネの心臓を囲っている金属皮膜で覆った剣だ。
これでならカバネの心臓を切れるが、普通の剣ではだめだ。折れてしまう。」

「すごい技術…西ノ国は技術が発展していると聞いたことがあるけれど、本当にそうなのね。
カバネを武器に利用するなんて、すごいわ。」

言われてみればその通りだ。
彼女からしたら驚くことだろう。
カバネの金属皮膜をはがして、剣をそれで覆うなど想像もできないだろう。
と言っても俺もできなかったが。
やはり生駒の考えていることはわからない。

「それでも、ここに来る前の廃駅は苦戦した…。」

ぽつりと呟く。

「…そう。ここに来られたってことはあの駅を突破してきたってことだものね。あの駅、今どうなってるの?」

「どう…というと…。」

少し目を閉じて回想する。
駅中がカバネで埋め尽くされていた。
そして数々の惨劇を物語る、錆びた駿城の残骸たち。

「おぞましい量のカバネがいた。
あれほどの数は見たことがなかった…融合群体になっていたら、俺たちも生きていなかったかもしれない。
多くの人があの駅で散ったのだろう。
今回俺たちは超えられたが…偶然に近いようなものだ。」


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