第5章 俺の進む道─寺島上京物語─
そんなこんなでがっつり田舎者の俺は、やっとの思いで新居に着いた。
寺島「うお、狭っ...」
いや普通です。上京したてにしてはいい方です。
さすがに最初のうちは自分だけの力で何とかなるもんじゃない。慣れるまでは親の力を拝借することができそうだから遠慮なく頼っちゃうつもり。あ、これ家族でちゃんと話し合って決めたことだから心配しないでね。拝借するっていっても家賃ぐらいだから、バイト始めるまでだから。
寺島「さぁて、この部屋をどうやって俺色に染めてやろうか...」
とりあえず俺の部屋にあったものはある程度こっちに送った。これでも何を送るかかなり迷った。家具は明日届く予定だし、今日は疲れてるから夜ご飯を済ませて寝てしまおう。布団は大家さんから借りたよー。
部屋を俺色に染めるって言っても、家具の配置とかそんなもん。さすがに家具だけで俺色にはできないし、これからじっくり必需品とか買い揃えていく予定、あと漫画ね。←ここ重要
ん?今日の夜ご飯?コンビニ弁当にお世話になります。明日からは頑張るよ、うん。
◆
寺島「一人だねえ、一人」
いや、これは『独り』が正しい。
部屋の真ん中(少し扉側寄り)で呟いてみた。家具ないじゃん、夜じゃん、音なんにもしないわけ。うおっ、なんか寒く感じる。
布団を敷き、潜り込む。温もりがないよおおおおおおお
(今日だけだぞ拓篤...明日には愛しのベッドが届くぞ、今夜だけ我慢だ拓篤!!)
ベッドが無駄に恋しい。いや布団も嫌いじゃないけど、フローリングに直で敷くものか布団って。畳なら分かるけど。
でも明日は明日でやることあるしなー、忙しくなるかな?親に心配かけたくないからバイトも早めに見つけたいし、やることいっぱい。
(まぁ、こんなもんだよね...)
忙しくてなんぼ。ドタバタ上等。やってやらぁ!
そんなことを考えつつ、俺は眠りについた。