第4章 私の進む道
寺島『───可愛いなぁ...』
寺島さんの声がする。私は...寝ているの?ベッドに?寺島さんの匂い、手から伝わる体温──
(ここは...)
うっすらと目を開ける。瞼が重い...眠いな...。
すると、私の右手を優しく握っている寺島さんがいた。
私は自分の頬をつまんでみた。──どうやら私は夢を見ているようだ。
この場所...見覚えがある。ここは寺島さんの部屋だ。1年前、寺島さんに助けてもらったときにベッド借りて寝ちゃったんだっけ...。あの時作ってもらったお粥、美味しかったなー。
───って、なんであの時の夢なんか見てるんだろ...
寺島『いつ気づいたんだろうなぁ...』
───寺島さん?
どうしたんだろう、とても悲しそうな顔をしている。
私は熱がある時のように身体が重く、ベッドに完全に体重を預けていた。動くこともままならず、そのまま寺島さんを見ていた。
寺島さんは私の頭を優しく撫でる。
(私が起きていることに気づいてないのかな?)
どうやら寺島さんは私が起きていることに気づいていないようだった。あの時、本当に側にいてくれたんだ。何だか迷惑をかけてしまった...。
すると、寺島さんの頬を堪えきれなくなった涙が静かに流れた。
寺島『────大好きだよ』
(───え?)
寺島さんはそのまま眠りについてしまった。