第4章 私の進む道
美香「元気でね、ほんとに、いつでも電話してね、ずびっ」
夏海「わ、わかったから..。そんなもう一生会えないみたいなこと言うなよ。」
美香「だって!東京だよおおお。上京の日は必ず駅までお見送りに行くって言ってもさ、夏海、わざわざ来なくていいよって言うんだもん...冷たいんだもおおおおん」
そう、私は大切な友達の美香さえ、駅までお見送りに来なくていいと断った。家族も来ない。私が上京するときは、家を出た瞬間から1人。最後に聞く声は家の玄関で見送ってくれる家族の声だろう。
私がここまで断ったのには理由がある。まず、私は美香のように上京=別れだとは思っていない。そりゃあ家族や友達とは当分会えなくなるだろう。もしかしたらもう一生会えないかもしれない。だけど、それを覚悟の上で上京すると決めたのだ。だったら1人で自信を持って行きたい。あの時の寺島さんのように。
それと、家族や友達の泣き顔を見たくないのもある。お母さんや美香なんか絶対泣くだろう。その泣き顔を見てしまったら私も泣いてしまいそうで...。
美香「...夏海?」
夏海「あぁ、大丈夫。───元気でね。」
美香「もちろん!うちが倒れると思う?」
夏海「いや、一切思わない」
美香「それはそれで酷いよ夏海...」
夏海「ふふっ..あははっ」
美香「ちょっ、笑うなー!──夏海も、元気でね。応援してるから。」
夏海「うん。私も応援してる。」
美香「いやー、でもまさか夏海が声優を目指すなんてねー!初めて聞いたときはびっくりしちゃったよ!」
夏海「自分でもびっくりしてるよ、まさか自分が高校卒業したら上京するなんて。」
美香「いつか遊びに行くー!」
夏海「うん、おいで!」
私たちはお互いバラバラになることをを惜しみつつ、最後は笑顔で別れた。