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声優目指します~寺島拓篤さんを追いかけて~

第3章 別れ


 
寺島「んん...何時...?」

夏海「5時です...」

寺島「えっ...すごい寝ちゃった...」

夏海「あ、あのぉ....」

寺島「ん?」

夏海「その...手...」

寺島「手?...う、うわぁっ!ごめん!!」


寺島さんはさっと手を離した。


寺島「ず、ずっと握ったまま寝てたんだ...その...えーっと...」

夏海「だっ、大丈夫です!あの...安心、しました...」

寺島「あっ、そっか...」


寺島さん、顔真っ赤ですよ...。私まで恥ずかしくなるから、その、やめてください...私まで顔赤くなっちゃう...。


寺島「とっ、とりあえず───熱はどう?」


寺島さんは私の額に自分の手をあてた。何でそんなサラッと出来てしまうのか...恥ずかしくて熱上がりそう...


寺島「大丈夫そう、かな。でも、今日は学校休みなよ?俺が心配。」

夏海「は、はい..」


あー、寺島さんに言われたら学校行けないよー...。準備で忙しい時期に休んじゃうなんて...


寺島「──準備大変なのに休めないよー」

夏海「えっ!」

夏海「...とか、考えてたでしょ?」


寺島さんは少し意地悪な顔で私の顔を覗き込んでくる。前にもこんなことがあったような...

私は恥ずかしくなって退いた。


寺島「あははっ!図星かー!!───とにかく、今日はダメ。分かった?」

夏海「はーい...」


私は少し膨れてみせた。だって寺島さん意地悪だし、美香だって心配だし、学校だって行きたかったし...授業は嫌いだけど...


寺島「っ...それ反則...」


寺島さんが呟いた。その声は小さすぎて、何て言ったのか全く聞き取れなかった。


寺島「よ、よしっ!!ちょっと早いけど、ご飯食べようか。」

夏海「えっ!?朝ご飯までご馳走になっちゃっていいんですか!?」

寺島「いいよいいよー、食べてって!」

夏海「す、すいません...ご馳走になります」
 
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