第3章 別れ
寺島『俺、もう行くね。』
夏海『寺島さん...寺島さん!!』
寺島『もう...会えないね...俺、頑張るから。』
夏海『寺島さん、行かないで...行かないで!!』
寺島『───またね。』
◆
夏海「んん.....」
あれ、夢...?
私の目元は涙で濡れていた。
(すごい夢見ちゃったな...)
私、いつの間に寝ていたんだろう...。
時計を見ると、今は朝の5時。すっごい爆睡しちゃった、しかも寺島さんのベッドで...。
うわぁぁぁあああああ待って!待ってちょっと待って!!!男の人のベッドで寝るとかすごい恥ずかしいじゃん!!私なにやってんの!!!すごい迷惑じゃん!!!恥ずかしいじゃん!!!!
夏海「───?」
右手が温かい。
見ると寺島さんが私の右手を握ったまま寝ていた。さりげなく吐息あたってる。寺島さん、寝顔可愛い..
──ずっとそばにいてくれたんだ。
私が使ってるから、寺島さんベッド使えなかったんですよね。寺島さんが風邪引いちゃうよ...
私は自分にかかっている布団のうち、一番上にある毛布を寺島さんにかけた。
──できることなら、もっと話していたい。東京になんて行かないでほしい。
でも、寺島さんは声優になるんだ。それを私なんかが邪魔して良いはずがない。応援したい。寺島さん、こんなに真っ直ぐなんだから...
私も見つけないとな、やりたいこと。
(寺島『好きなものをもっと好きになったらいいんだよ』)
そういえば、寺島さん言ってたな。私、あの時アニメって言ったっけ。
───アニメの制作とか、楽しそうだな...
(寺島『夏海ちゃんも声優目指してみる?』)
声優───か。やってみたいな。寺島さんがなりたいと心から思ったこと、きっと素敵なお仕事なんだろうな。
─────私、声優になりたい。
初めて心からそう思った。
寺島「んん...あれ?朝...?」
夏海「あ、寺島さん...」
丁度そのとき、寺島さんが目を覚ました。