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声優目指します~寺島拓篤さんを追いかけて~

第3章 別れ


 
寺島『俺、もう行くね。』

夏海『寺島さん...寺島さん!!』

寺島『もう...会えないね...俺、頑張るから。』

夏海『寺島さん、行かないで...行かないで!!』

寺島『───またね。』







夏海「んん.....」


あれ、夢...?
私の目元は涙で濡れていた。


(すごい夢見ちゃったな...)


私、いつの間に寝ていたんだろう...。

時計を見ると、今は朝の5時。すっごい爆睡しちゃった、しかも寺島さんのベッドで...。


うわぁぁぁあああああ待って!待ってちょっと待って!!!男の人のベッドで寝るとかすごい恥ずかしいじゃん!!私なにやってんの!!!すごい迷惑じゃん!!!恥ずかしいじゃん!!!!


夏海「───?」


右手が温かい。


見ると寺島さんが私の右手を握ったまま寝ていた。さりげなく吐息あたってる。寺島さん、寝顔可愛い..


──ずっとそばにいてくれたんだ。


私が使ってるから、寺島さんベッド使えなかったんですよね。寺島さんが風邪引いちゃうよ...


私は自分にかかっている布団のうち、一番上にある毛布を寺島さんにかけた。



──できることなら、もっと話していたい。東京になんて行かないでほしい。

でも、寺島さんは声優になるんだ。それを私なんかが邪魔して良いはずがない。応援したい。寺島さん、こんなに真っ直ぐなんだから...

私も見つけないとな、やりたいこと。


(寺島『好きなものをもっと好きになったらいいんだよ』)


そういえば、寺島さん言ってたな。私、あの時アニメって言ったっけ。

───アニメの制作とか、楽しそうだな...


(寺島『夏海ちゃんも声優目指してみる?』)


声優───か。やってみたいな。寺島さんがなりたいと心から思ったこと、きっと素敵なお仕事なんだろうな。


─────私、声優になりたい。

初めて心からそう思った。



寺島「んん...あれ?朝...?」

夏海「あ、寺島さん...」


丁度そのとき、寺島さんが目を覚ました。
 
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