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声優目指します~寺島拓篤さんを追いかけて~

第3章 別れ


 
夏海「うん....んん....」

寺島「あっ...」


夏海ちゃんは静かに目を開けた。ベッドに寝かせてから15分ぐらい経ったのだろうか...


夏海「寺、島...さん..?」

寺島「大丈夫?あぁ寝てていいよ、無理しないで。」


俺は起き上がろうとした夏海ちゃんを手で制した。まだ無理はしない方がいいだろう。


夏海「ここは...」

寺島「俺の部屋だよ。夏海ちゃん、いきなり倒れちゃって...」

夏海「あ....」

寺島「あぁ心配しないで。家誰もいないし、全然迷惑じゃないから。俺が好きでやったことだし。」

夏海「す、すいません...」


夏海ちゃんはまだ意識がハッキリしていないのか、目もとろんとしている。


寺島「とりあえず、家に電話しておいた方がいいかな?番号教えてくれれば、俺かけておくから。」

夏海「すいません、お願いします...。」







夏海ちゃんの家にかけたらお母さんが出た。俺は駅前で起きたこと、今の状況などを説明すると、夏海ちゃんのお母さんは『よろしくお願いします』って言ってくれた。いいお母さんじゃん。



寺島「──お腹減ってない?お粥作ったんだけど、食べる?」


そう聞くと夏海ちゃんは静かに頷いた。

俺は冷めてしまったお粥を温め直し、小さな皿に。


寺島「はい、口開けて。」


夏海ちゃんの体をそっと起こして、俺はお粥を一口食べさせた。いわゆる『あーん』ってやつ。やったことあるけど女の子には初めてやった...

夏海ちゃんも最初は驚いていた。『自分で食べる?』って聞いた方がよかったかもしれないけど、なぜか聞かなかった。


寺島「──飲み込める?」


一口にたくさん食べると飲み込むの大変だから、スプーンですくったのはちょっと少なめの一口。

夏海ちゃんはゆっくり噛んで飲み込んだ。


寺島「───あんまり自信ないんだけど....美味しい?」

夏海「はい、とっても美味しいです。」


夏海ちゃんは優しい笑顔で言った。

夏海ちゃん、こんな時まで俺に気を使って...俺泣けてくるよ←
 
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