第3章 別れ
夏海「うん....んん....」
寺島「あっ...」
夏海ちゃんは静かに目を開けた。ベッドに寝かせてから15分ぐらい経ったのだろうか...
夏海「寺、島...さん..?」
寺島「大丈夫?あぁ寝てていいよ、無理しないで。」
俺は起き上がろうとした夏海ちゃんを手で制した。まだ無理はしない方がいいだろう。
夏海「ここは...」
寺島「俺の部屋だよ。夏海ちゃん、いきなり倒れちゃって...」
夏海「あ....」
寺島「あぁ心配しないで。家誰もいないし、全然迷惑じゃないから。俺が好きでやったことだし。」
夏海「す、すいません...」
夏海ちゃんはまだ意識がハッキリしていないのか、目もとろんとしている。
寺島「とりあえず、家に電話しておいた方がいいかな?番号教えてくれれば、俺かけておくから。」
夏海「すいません、お願いします...。」
◆
夏海ちゃんの家にかけたらお母さんが出た。俺は駅前で起きたこと、今の状況などを説明すると、夏海ちゃんのお母さんは『よろしくお願いします』って言ってくれた。いいお母さんじゃん。
寺島「──お腹減ってない?お粥作ったんだけど、食べる?」
そう聞くと夏海ちゃんは静かに頷いた。
俺は冷めてしまったお粥を温め直し、小さな皿に。
寺島「はい、口開けて。」
夏海ちゃんの体をそっと起こして、俺はお粥を一口食べさせた。いわゆる『あーん』ってやつ。やったことあるけど女の子には初めてやった...
夏海ちゃんも最初は驚いていた。『自分で食べる?』って聞いた方がよかったかもしれないけど、なぜか聞かなかった。
寺島「──飲み込める?」
一口にたくさん食べると飲み込むの大変だから、スプーンですくったのはちょっと少なめの一口。
夏海ちゃんはゆっくり噛んで飲み込んだ。
寺島「───あんまり自信ないんだけど....美味しい?」
夏海「はい、とっても美味しいです。」
夏海ちゃんは優しい笑顔で言った。
夏海ちゃん、こんな時まで俺に気を使って...俺泣けてくるよ←