第2章 声優
最近できたばかりの、落ち着いた雰囲気漂う喫茶店。前から一度来てみたいと思っていたし、丁度いいや。
寺島「とりあえず、何飲む?ここは奢るよ。」
夏海「えっ、奢ってもらうなんて悪いですよ!むしろ後輩の私が奢らなきゃ...」
寺島「いいのいいの、奢らせて。カッコいいところ見せさせてよ。」
───そんなこと言われたら断れないじゃないですか...
寺島「俺、ココアにしようかな。夏海ちゃんは?」
夏海「じゃあ、私もココアで。」
寺島「了解。──すいませーん...」
◆
店員「お待たせしました、ココアです」
寺島「あ、ありがとうございます」
私たちは喫茶店でずっと会話していた。寺島さんのお話は全然飽きなくて、とても楽しくて...ずっと話していたいな...
夏海「そういえば寺島さん、進路は...?」
寺島「俺?俺はね、東京の専門学校に行くんだ、声優科。」
夏海「声...優....?」
寺島「そう、声優。声優になりたいんだ、俺。」
夏海「声優...か...。なぜです?」
寺島「なぜって聞かれるほどのことでもないんだけどね...」
寺島さんは私に声優になりたいと思ったきっかけをゆっくりと話してくれた。