第2章 あなたの右側【エルヴィン】
命運を懸けた戦いを控えた夜。
私たちはいつものように、ひとつのベッドに寄り添った。
ウォール・マリア奪還作戦。
成功させることができれば、人類の未来は明るく灯される。
そして、エレンの生家の地下室。
エルヴィンの夢は、もうすぐそこ。
一緒に辿り着きたい……。
「夢の先には、何があるんだろうね?」
「……」
「また次の夢が、見つかるのかな?」
エルヴィンの胸元で、ポツリ呟く。
体に添えられた彼の左腕は、私を包み込んだ。
「そうかもな。いつか、二人だけの夢を見よう」
「うん…」
今だけは、ゆっくり休んで。
私はどこにも行かないから。
「おやすみ、イレーネ」
「おやすみ、エルヴィン」
瞼を伏せるエルヴィン。
暗闇でもわかる綺麗な碧い瞳は、閉ざされてしまった。