第4章 生徒会
-Mside-
呼び出されて廊下へ出て行く翔を、ニノが何とも言えない顔で見送る。
不安そうな…でもそれだけじゃないような複雑な表情。
翔が生徒会に勧誘されてるのは、もうみんな知ってて。
翔が断り続けてることも知ってるのに、ニノは毎回こんな顔をする。
「また生徒会長だ…最近ほとんど毎日だね」
「うん…」
「よっぽど翔くんに後を引き継いでほしいんだね」
「うん…」
感心したような雅紀の言葉に、みるみるニノの肩が落ちていって。
「ニノ…」
智が心配そうにその肩に手を置いた。
「ねぇ、ニノはどう思ってるの?」
「え…?何を?」
ションボリしているニノに智が問いかける。
「翔くんが生徒会に勧誘されてること。入らないでほしい?それとも入ったらいいと思ってる?」
それは俺も聞いてみたかった。
この件についてニノが自分の意見を言っているのを聞いたことがなかったから。
また心の中になにか溜め込んで変なこと考えてないか、実はちょっと心配してた。
「………わかんない」
ニノはしばらく考えていたけど、やがてポツリと呟いた。
「わかんないの?」
「翔ちゃんが生徒会に入っちゃったら、きっと忙しくなって今みたいにずっと一緒には居れなくなるだろうから…それはさみしいな、やだなって思っちゃうけど…」
「うん」
ポツリポツリとニノが心情を吐露していくのを、みんなで静かに聞いていたけど。
「でも翔ちゃんは…本当は生徒会に入りたいんじゃないかな…って思ってて…」
「いや、翔は入らないって言って断ってるだろ?」
そんなことを言い出すから、つい割って入ってしまった。