第4章 生徒会
なんでか先輩は諦めてくれなくて。
それだけ俺に期待してくれているのだと思えば有難いけれど。
その後も勧誘されては断る…を繰り返してきた。
それが二学期に入ってからその頻度が一気に増した。
理由は分かってる。
もうすぐ先輩の任期が終わる。
来月には時期会長を決める選挙もある。
それなのに後任候補が見つからないらしい。
「なぁ、櫻井…どうしても考えは変わらないか?」
「申し訳ないですけど…」
「頼むよ、他にいないんだ」
困りきった先輩の顔を見ると申し訳なさが込み上げる。
お世話になった先輩に頭を下げられれば応えたくなる。
でも俺にだって譲れないものがあるんだ。
「いやいや、そんな訳ないでしょう。俺じゃなくたって他にいくらでも優秀なやつがいますって…」
「他のやつじゃアイツらが納得しないんだよ…4月からずっと櫻井のことを待ってる。お前が会長をやらないなら全員やめるとまで言ってるんだ…」
先輩の言うアイツらの顔が頭に浮かぶ。
やたらと俺を慕っていた後輩たち。
何アホなこと言ってやがるんだという怒りと同時に、アイツらなら本当にやめかねないな…と妙に納得してしまったりして。
深いため息を吐く先輩に同情してしまう。
「もう少しゆっくり話したい…また来るよ」
「え…いや…あの…」
本音を言えばもう俺のことは諦めて欲しい。
でも先輩の気持ちを考えてしまうと、冷たく突き放すことも出来なくて。
「じゃあ、また」
はっきり返事が出来ないうちに、先輩は去っていってしまった。