第25章 誕生祝い to Jun * ムラサキ♡まつり
でも智は、明らかに態度が軟化して。
その日はカッコよく俺のことをエスコートしてくれて。
女装させたがる潤の気持ちが分かっちゃったよと笑って、こうして今でも誕生日とかのタイミングでちょいちょい女装をしてくれる。
そんな智が可愛くて愛しくて。
本当に愛しくて。
もっともっと大切にしなきゃと毎回思う。
まぁ、俺もね。
ごくたまにだけど智にねだられて女装することはある。
滅多にないけど、そういう時は素直に応じることにしてる。
そんなことを考えながら花火に夢中な智を見つめていたんだけど、さすがに凝視しすぎだったのか智に気づかれてしまった。
「なんなの、俺じゃなくて花火見ろよ」
不機嫌そうに口を尖らせるけど、耳が赤くなってるから照れてるだけだって分かる。可愛い。
「見てるよ、智の目に映ってる花火」
「はぁ?」
言い訳をしてみたら智は一瞬何言ってんだコイツみたいな顔をしたけど、そのままじーっと俺の目を見つめてきて。
「あ、本当だ…花火が見える…」
目を合わせたまま、ふにゃりと笑った。
「キラキラしてきれい」
「………っ!!」
その笑顔の方が花火よりよっぽど綺麗で。
カーッと顔が熱くなったのが自分でも分かった。
「ふふっ、自分が言い出したくせに何照れてんの」
「うるせー」
何だか返り討ちにあった気分。
クスクス笑われて何だかちょっと悔しくなって。
悔し紛れに智の手をぎゅっと握って引っ張ると、智は笑いながら俺の肩にもたれかかってきた。
その可愛い仕草にドキッと心臓が跳ねる。
もう本当に智には敵わない。
「きれいだね」
「ああ」
智とくっついて見る花火は本当に綺麗で。
智の体温を感じながら、幸せをかみ締めた。