第3章 誕生祝い to Jun
それにしても恥ずかしい。
1番後ろだし、隣に座ってる人もいないから人目を気にする必要がないのはいいけど。
もしかして、潤はそこまで計算してこの席を選んだのかな…
ただでさえ、慣れないデートって響きと、慣れないどころじゃない初めてのサプライズに緊張してたというのに。
繋いだ手と顔が熱くて。
映画の内容が何一つ頭に入ってこない。
でもドキドキしてるのは俺だけで。
潤は涼しい顔して映画を観てるのがなんだか悔しい。
見てろよ!!
サプライズで絶対驚かしてやるんだからな!!
…なんて。
無駄に闘志を燃やすことで、フワフワして落ち着かない気持ちを何とか誤魔化した。
ドキドキし過ぎてぐったりしてきた頃、やっとエンドロールが流れ始めた。
よし!!
潤にバレないようにこっそり深呼吸して気合を入れる。
左手でカバンの中からそーっと目当てのものを取り出して、タイミングをはかる。
エンドロールが流れきって、明るくなる直前。
繋いでいる手をぐっと引っ張って、潤の手首に用意していたものをはめた。
「…え?は?何?」
驚いたような潤の声が聞こえて。
すぐに場内が明るくなると、声同様に目を見開いて驚いている潤の顔が見えて。
してやったりな気分になった。