第2章 誕生祝い to Nino
「そろそろ帰ろうか」
俺の涙が止まる頃、翔ちゃんがそっと離れていった。
「…うん」
もうすぐ閉園だし、いつまでもここで抱き合ってるわけにはいかない。
分かってるけど、ほんのちょっとでも翔ちゃんと離れたくなくて。
すぐに右手で翔ちゃんの腕にしがみついた。
左手は高く掲げて。
キラキラ光る指輪を飽きることなく眺める。
「うふふふふふ」
嬉しすぎて、我ながら気持ち悪い笑いが止まらない。
「ニノ、笑い方がキモイよ」
「うっさい!」
ただ自覚があっても人に言われたらムカつくもので。
それが雅紀だったから尚更で。
10倍くらい言い返そうとしたけど、ふと気になってたことを思い出した。
「ねぇ、ちゃんと風間のお祝いしてあげた?」
雅紀をちょいちょいと呼んで、声を潜めて確認する。
「ああ、お祝いってほどじゃないけど。一緒に選んでさ、プレゼントしたよ」
雅紀は突然話が変わったことに戸惑ってそうだったけど、ちゃんと答えてくれた。
「そっかそっか」
その答えにホッとする。
同じ誕生日なのに俺ばっかり祝ってもらってるみたいで気になってたんだよ。
でも風間が祝ってほしいのは雅紀からだろうから。
雅紀がちゃんとしてくれたことに何だか俺まで嬉しくなった。
俺にとっては人生で一番幸せな日になったけど、風間にとっても幸せな1日だったらいいなと思う。