第2章 誕生祝い to Nino
目の前にかざした指輪をじっと見つめる。
それは正円じゃなくてちょっぴり歪で。
表面はたぶん意図した模様ではなさそうな凹凸がたくさんついてる。
既製品みたいに綺麗じゃない、翔ちゃんの言う通りちょっと不格好なリング。
でもそれこそが翔ちゃんが作ってくれたっていうことの証で。
愛しくてたまらない。
翔ちゃん不器用さんなのに…
どれだけ苦労して作ってくれたんだろう…
指輪から翔ちゃんの想いが、愛が、伝わってくる。
俺が勝手に不安になって翔ちゃんのことを疑ってる間も、翔ちゃんは俺のことをこんなに想ってくれてたんだ。
疑ってごめんなさい…
俺も大好き…
翔ちゃんのことが大好きだよ…
目の奥が熱くなって視界がぼやけてくる。
「ありがと…翔ちゃん…」
優しい顔で俺を見てる翔ちゃんが涙の膜の向こうでゆらゆら揺れてる。
「うれしい…すごく、すごくうれしい…」
幸せすぎて胸が詰まって、言葉がうまく出てこない。
それでも伝えたくて。
俺がどれだけ嬉しくて感動しているのか。
「大事にする…一生のたからものにする…」
少しでも分かってほしくて。
震える声を必死に絞り出す。
「俺も…ずっと、ずっと…翔ちゃんと一緒にいたい… 」
俺のたどたどしい言葉を翔ちゃんは黙って聞いてくれてたけど、そこまで言ったところで急に腕を引かれた。
抱き締められたはずみで目に溜まっていた涙がこぼれ落ちて。
視界がクリアになったら、嬉しそうに微笑む翔ちゃんの横顔が見えた。
あったかい腕と笑顔にまた胸がいっぱいになって。
涙が止まらなくなって、翔ちゃんを困らせちゃったけど。
これは嬉し涙だから許してね。