第2章 誕生祝い to Nino
-Sside-
緊張して微かに震える手で、鞄の中からラッピングした小箱を取り出した。
カズはまだ何も気付かずに、光を反射してキラキラ輝く瞳で噴水を楽しそうに眺めてる。
その可愛い横顔を見ているだけで、カズを好きだと想う気持ちが溢れて胸がいっぱいになった。
「カズ…」
「なぁに?」
そっと呼び掛けたら、ニコニコしながら振り返ったけど
「翔ちゃん…?」
俺がよっぽど緊張した顔をしているのか、ちょっと怪訝そうな顔になって。
「えっ?」
俺が手にしているものに気付くと、その目をまん丸に見開いた。
昨日カズの抱えていた不安を聞かせてもらった俺は、ここ最近の自分の行動や態度を死ぬほど後悔して反省もした。
カズのことを二度と泣かせないって誓ったはずだったのに、知らずに傷付けていた自分をぶん殴りたくもなった。
そして…
そんな俺でも好きだと言ってくれるカズを、今まで以上に大切にしたくなった。
もうカズがほんの少しも不安を感じないように、言葉でも行動でも俺の気持ちを伝え続けようと思って。
今朝はカズを家まで迎えに行って。
1日中カズの手を離さず、何度も好きだと口にした。
たくさん悲しませてしまった分、今日を最高の1日にしてあげたかった。
でもカズのためと言いつつ、本当は俺がそうしたかっただけなのかもしれない。
1分1秒でも長くカズと一緒にいたくて。
少しでもカズに触れていたくて。
溢れる想いをカズに伝えたかった。