第23章 入学準備
「ニノは俺と同じサイズでいいんじゃない?」
思ったまま提案してみたら、途端にニノが悲しそうな顔になった。
「…智は雅紀の味方なの?」
「敵とか味方とかじゃないよ」
「じゃあ…」
「ねぇ、ニノ。そもそも今着てる制服じゃ大きすぎて上手く動けないんじゃない?」
今のニノは親のスーツを着て遊ぶ子どもみたいで可愛いっちゃ可愛いんだけど、制服が大きすぎてうまく動けてないんだよね。
これじゃ日常生活にも支障が出そうだ。
「う…」
指摘されたニノは図星だったようで口ごもった。
「ケガとかしそうで心配なんだよ」
「でも…」
まだ反論しようとしてるけど、明らかに勢いは弱くなってる。
今がチャンスだと思って、ささっとニノの着ていたブレザーを脱がせて、自分の着ていたものを羽織らせてみる。
さりげなく雅紀が手伝ってくれたから、ニノが抵抗する前に着せ替えさせることができた。
うん、やっぱりこれくらいがいいと思う。
見た目もすっきりしたし、何より動きやすくなったはず。
でもニノは自分の着てるブレザーと俺に取り上げられたブレザーを見比べて不満そうな顔をしている。
「これだってまだ余裕があるから大きくなっても大丈夫だって」
何とか納得してもらおうと宥めていたら、すかさず店員さんが「成長したら袖や裾を伸ばせるし、身幅も出せますよ」と口添えしてくれた。
たぶん店員さんも明らかにおかしいサイズを着たがるニノに困惑してたんだと思う。
「ほらね?」
「むぅ…」
それでもニノはまだしばらくごねていたけど。
確認しにきたニノの母ちゃんにバカデカサイズをあっさり却下されて、結局俺と同じサイズの制服を注文することになった。