第22章 カレー騒動
-オマケのMside-
「ただいまー」
「おかえり。遅かったね?何かあった?」
翔に付き合ってたら、帰宅がいつもより遅くなってしまった。
出迎えてくれた智はちょっと心配そうな顔をしている。
「連絡出来なくてごめんな。実は駅で翔に会ってさ…」
でも翔の名前を聞いた途端、智はホッとしたように表情を緩めた。
「ああ、泣きつかれた?」
最後まで言わなくても智には事情が分かったらしい。
クスクス笑う可愛い笑顔に、翔のせいで疲れた心が癒されていく。
「あいつらのこと知ってんの?」
「うん。今日ニノが来てね、話聞いたんだよ」
「ニノが来てたって…家出じゃないよな?」
「まさか」
違うのは分かりきってるけど、さっきの翔との会話を思い出して一応確認してみると、智はあっさり否定した。
「ニノ怒ってた?」
「怒ってないよ。拗ねてはいたけど」
やっぱりか。
俺の予想通りだったみたいだ。
「そんなこったろうと思ったよ」
「翔くんが俺のカレーを褒めたのが嫌だったみたいだよ。それでカレーの作り方を習いに来たの」
「カレーを?」
「智のよりおいしいカレーを作るんだー!って」
ヤキモチ妬いちゃって可愛いよねって笑う智は巻き込まれても全然迷惑だとか思ってなさそうだ。
相変わらずニノに甘い。
「で、これがニノの作ったカレー」
智がコンロの上の鍋を指さす。
いや、匂いで今晩もカレーなのは分かってたけど。
ニノ作だとは思わなかった。