第22章 カレー騒動
「翔ちゃん好みのカレーができたーって喜んで帰ったし、今頃もう仲直りしてるんじゃないかな」
簡単に想像出来てため息がこぼれた。
「本当はた迷惑なバカップルだよ」
「こんな遅くなるまで泣き言を聞いてあげてたくせに」
ついボヤけば、智にふふっと笑われてなんだかバツが悪い。
智にはバレてるんだよな。
何だかんだ言っても俺も翔たちに甘いってこと。
「……腹減ったな」
「すぐ食べれるよ」
気恥ずかしくなってあからさまに話を変えると、智は笑いながらちゃちゃっと用意してくれた。
「美味しいね」
「まぁ美味いけど。俺は智の作ったカレーのが好きだな」
決してまずいわけじゃない。
ニノのカレーは普通に美味い。
でもいつもの智が作るカレーの方が俺は好きだ。
「そんなの当たり前だよ。これはニノが翔くんのために愛情込めて作ったカレーだもん」
当然って顔で答える智に、ちょっと悪戯心がわいてきて。
「じゃあ智のカレーが美味いのは、智の俺への愛情が込められてるから?」
「………そうだよ。当たり前でしょ」
マジか。
揶揄うつもりで聞いたのに、赤い顔で肯定されて思わず俺まで顔が赤くなる。
「逆に潤がこっちのが好きって言ったら今度は俺が拗ねるよ」
真っ赤になって口を尖らせる智はびっくりする程可愛くて。
こんな可愛い智を見れたのも、あのバカップルのおかげか…
素直に感謝するのはちょっと悔しいけど、まぁ仕方ない。
次翔に会った時には何か奢ってもらおうと思ってたけど。
今回は智の可愛さに免じて勘弁してやるか。