第22章 カレー騒動
「俺ね、何だって翔ちゃんの1番になりたいの…ほかの人に譲りたくないの…」
ぽつりぽつりとカズは拗ねた理由を話してくれた。
「だから昨日…翔ちゃんが智のカレーが1番おいしいって言ったのが悔しくって拗ねたの…ごめんね…」
もし逆の立場なら…まぁ、俺は料理できないから料理だとうまく想像出来ないけど。
例えばカズが潤のした何かをべた褒めしたとしたら。
それをしたのが潤だって知らずに褒めたんだとしても、やっぱり面白くはないと思う。
俺だってカズの1番でありたい。
それが何であれ、誰にもその座を譲りたくない。
俺はカズに関することに対しては心が狭い。
ちゃんと自覚はある。
それはきっとカズも同じで。
ちょっと想像しただけでも何だか悔しくなってるんだ。
実際に体験したカズの悔しさはこんなもんじゃなかっただろう。
そりゃ拗ねたくもなるよ。
カズが怒ってなかった、良かった良かった…では済ませられない。
「やっぱり俺が悪かったんだよ…無神経なこと言って本当にごめん」
「翔ちゃんは知らなかったんだもん。それに智のカレーはすっごく美味しかったし…」
「でも傷つけたでしょ?悲しい気持ちにさせて本当にごめんね」
カズは何も言わなかったけど、その目に涙がじわりと浮かんだ。
腕をのばしてカズをぎゅっと抱きしめる。
ごめん…本当にごめんね…