第22章 カレー騒動

やっと理解が追いついてきたと思ったら、カズが急に真面目な顔になって。

「翔ちゃん、ごめんなさい」

おもむろに立ち上がると深く深く頭を下げた。

えぇっ？！今度は何？！

やっぱり全然カズの行動が読めない。

慌てて席を立って、頭を下げ続けるカズの元へ飛んで行く。

「頭あげて！ね、お願いだから…」
「翔ちゃん…」

懇願してなんとか頭を上げさせると、至近距離でうるうるな瞳と目が合った。

こんな時なのに、その可愛さに見惚れてしまう。

でも一瞬惚けたおかげか、ちょっと落ち着いた。

「ごめんなさい…」
「なんでカズが謝るの？謝られるようなこと何もされてないよ？」

むしろしてしまったのは俺の方だ。
カズに謝られる意味が分からない。

でもカズはぶんぶんと首を横に振った。

「したの…すねて翔ちゃんにいやな態度取っちゃった…」
「すね…？え？拗ねてたの？」

怒ってたんじゃなくて？
拗ねてた？

思わず聞き返してしまったら、カズは恥ずかしそうに目を伏せて小さく頷いた。

「怒ってたんじゃなかったんだ…」
「怒ってないって何度も言ったじゃん」

思わず呟いてしまったら、カズが口をとがらせた。

不貞腐れた子どもみたいで可愛い。

最初からこういう顔をしてくれてたら俺だって拗ねてるって気付けたと思うんだけどな。

ずっと無表情だったから怒ってるようにしか見えなかったんだよ。

でも良かった！！
本当に良かった！！

カズが本当に怒ってなかったと分かって、心の底から安心した。

潤が何度怒ってないと思うって言ってくれても、イマイチ信じきれなかったんだけど。

潤、大正解だったよ！
カズ拗ねてただけだって！