第22章 カレー騒動
-Sside-
途中から早く帰りたそうな顔をしてたのに、結局潤は最後まで付き合ってくれた。
なんだかんだ言いつつも優しいし面倒見がいいんだよな。
遠回りになるのに家の前まで付いてきてくれて。
「早く仲直りしろよ!」って檄を飛ばして帰っていった。
気合を入れるように叩かれた背中はジンジンと痛いけど、気持ちは少し上向いた。
本当に感謝しかない。
何度か深呼吸を繰り返してから押したインターホン。
今日は出迎えはないかもしれないと覚悟していたけど、カズは玄関まで来てカギを開けてくれた。
「た、ただいま」
「………おかえりなさい」
笑顔はない。
いつもみたいなハグもキスもない。
でもちゃんと出迎えに来てくれた。
“おかえりなさい”って言ってくれた。
潤に言われたことをよく考えて。
少し冷静になったら、してもらえないことじゃなくて、してもらえてることにも意識が向くようになった。
怒らせてしまったと思い込んで、いつもと違うところにばかり気を取られてたけど。
確かに潤の言う通り、本気で怒っているなら俺と顔を合わせることすらしたくないだろう。
もしかしたら本当に怒ってないのかもしれないと思えてきた。
………でもそれにしては普段と態度が違いすぎるんだよなぁ。
何にしても機嫌があまりよろしくないのは間違いない。
その原因は絶対俺で。
夕べから何度も謝ってるけど、その度に怒ってないと返される。
謝る以外で仲直りするには一体どうしたらいいんだろう。