第22章 カレー騒動
見るからに美味そうなカレーに、腹の虫が盛大に鳴る。
「どうぞ、めしあがれ」
「ありがとう!いただきます!」
クスクス笑うカズに促されて頬張ったカレーは、びっくりするくらい美味かった。
「あのね、このカレーね、さ…」
「うっま!何これ!めちゃくちゃうまい!!」
あまりの美味さに感動した俺は、カズが何か言いかけたのを遮ってしまったことにも気づかず叫んだ。
「………うん」
「今まで食べたカレーの中で1番うまいよ!」
「………そう」
興奮する俺と反比例するように明らかにカズのテンションは下がっていたのに、カレーに夢中だった俺は全然気づかなくて。
「いや!もちろん今までのも美味しかったよ?カズの作ってくれるものは何でも美味しいよ?」
そんなフォローを入れつつも、俺は目の前のカレーをべた褒めした。
「でもこのカレーは別格っていうか!すごいスパイシーだし!手が掛かってそうだし!作るの大変だったんじゃない?」
スプーンを運ぶ手は止まらず、あっという間に皿の中身が消えていく。
「おかわりある?」
「………うん」
カズの様子がおかしいことに気づいたのは、おかわりをよそった皿を無言で渡された時だった。
いつもなら笑顔で、たくさん食べてくれて嬉しいっ♡とか何かしら言ってくれるのに。
「カズ?」
ようやく違和感に気づいて、改めて見たカズの顔は怖いくらいに無表情で。
思わずひゅっと息を飲んだ。