第22章 カレー騒動
-Sside-
すっかり秋めいて朝晩は寒くなってきた今日この頃。
冷たい風に思わず首を竦める帰り道。
日が暮れるのも早くなり、ともすれば気が滅入りそうだけど。
カズが家で待ってると思えば一瞬で俺の心はぽっかぽかになる。
つい先日小さな山場を1つ乗り越えた俺たち。
幸いカズを失うことはなかったけれど、大いに反省した俺はカズの言ったことをきっちり守るようになった。
そうしたら、カズは今まで以上に毎日にこにこで。
カズが笑顔なら当然俺も幸せで、俺たちの関係は良好そのもの。
もちろん今までだってめちゃくちゃ幸せだったんだけど、その中でも今が1番だと思うくらい超絶幸せな日々を過ごしている。
カズの笑顔を思い浮かべたら、自然と歩く速度も早くなって。
あっという間に帰りついたドアの前。
どこかから漂ってくるカレーの匂いに空腹を刺激されながらインターホンを鳴らすと、すぐにパタパタとスリッパの鳴る音が聞こえて。
返事よりも先にドアが開いた。
途端に濃くなるカレーの匂い。
どうやら良い香りの発生源は我が家だったらしい。
「おかえりなさい♡翔ちゃん♡」
「ただいま!」
出迎えてくれたカズをぎゅっと抱きしめると、カズは嬉しそうにふふっと笑った。可愛い。
「いい匂いだね」
「今日はカレーだよ♡」
「やったね!すぐ着替えてくる!」
予想通りの答えに俺のテンションは爆上がり。
超特急でスーツを脱ぎ捨てて。
でももう脱ぎっぱなしにはしない。
ちゃんとハンガーにかけて、洗濯物は洗濯カゴへ入れる。もちろんひっくり返った靴下は元に戻してから。
たったこれだけのことでカズの負担が減って笑顔が増えると学んだ今、逆になんで今までやらなかったのか不思議なくらいだ。
しっかり手洗いうがいもしてから戻れば、テーブルの上には食事の用意が整っていた。