第21章 幸せな日々
きゅるるるる…
仲直り出来たところで安心した俺の腹が鳴って。
「待ってて、すぐ食べれるから」
カズはくすくす笑いながら、作ってあったご飯をすぐに温めて出してくれた。
「いただきます!あー、美味いー…」
カズお手製の肉じゃががしみじみ美味しくて箸が止まらない。
ばくばく無心で食べる俺をカズはニコニコ嬉しそうに見ていて。
カズが本当に幸せそうで、俺がこんな顔にさせてるんだと思えば嬉しい。
でも俺としては美味い飯を食べてるだけだから、幸せにしてもらってる感のが強いんだよなぁ…
俺もカズのために何かしてあげたい。
カズを幸せにしてる実感がほしい。
「あのさ、カズが大変じゃないならやっぱり俺にも色々教えてもらえる?」
「いいけど…」
改めてお願いしてみたら、カズはいいと言いつつちょっと警戒するような顔をした。
俺がさっきのカズのお願いをなかったことにしようとしてると思ったのかもしれない。
「カズに家事やるなって言うんじゃないよ?ただ、やっぱり俺もカズのために何かしたいんだ」
俺としても、せっかく仲直り出来たのにさっきの話を蒸し返す気はない。
だから誤解されそうなことを早めに正して伝えると、カズはホッとしたように表情を和らげた。
「こうやって美味しそうにご飯食べてくれるだけで俺は幸せだけどね」
「そう言ってもらえるのは嬉しいけど、でも…」
引き下がらない俺を見て、カズはふわっと笑った。
「…うん、大丈夫。わかってるよ、翔ちゃんが俺と同じ気持ちなの」
嬉しいって微笑むカズは本当に嬉しそうだった。