第21章 幸せな日々
でもカズは大丈夫の一点張り。
「俺が好きでしてるんだもん。無理はしてないし、全然大変じゃないよ。翔ちゃんも出来ることは手伝ってくれてるし」
カズはそう言ってくれるけど、俺がしてることなんて本当に子どものお手伝いレベルで。
ぶっちゃけ俺が手伝わない方が早く終わったんじゃないかと思うことも結構ある。
「俺がもっと色々出来るようになったら、カズももっと楽になるでしょ?だから俺、料理教室に通って料理覚えようと思って。調べたら掃除や洗濯も講習会があるみたいだから、ちゃんと習ってくるよ」
例えカズが今本当に大丈夫なんだとしても、今後のために家事のあれこれを習得しておいて損になることはないはずだ。
なのにカズはなんだか泣きそうな顔になってしまって。
なんでそんな顔をしているのか分からなくて困惑してしまう。
「カズ?」
「……ねぇ、翔ちゃん。料理も掃除も洗濯も、翔ちゃんが本当に興味があって習いたいからお教室に通うって言うなら俺は反対しないよ。でももしそれが俺のためなら、そんなの通わないで…どうしても出来るようになりたいなら、全部俺が教えるから。俺と一緒にやろ?」
カズは何故か俺の教室通いを必死に止めようとするけど、その提案は受け入れられない。
「それじゃますますカズが大変になっちゃうよ」
カズの負担を減らすために学ぼうとしてるのに、逆にカズの負担を増やすなんて本末転倒だ。
「俺、これ以上カズの負担になりたくな…」
「負担じゃないって言ってるじゃん!!」
でもカズを気遣ったつもりの言葉は、珍しく声を荒らげたカズ当人に遮られてしまった。