第21章 幸せな日々
ソファに2人並んで座り、カズに聞かれるまま、俺は今朝潤に会ったところから、潤と智くんがケンカをしたこととその理由まで、潤とのやり取りをそのまま全部話した。
カズは最後まで黙って聞いてくれてたけど、全部聞き終わった後に大きなため息を吐いた。
「はぁ…それで不安になっちゃったの?」
「うん…だって俺いつまで経っても家事全然上手くならないし…カズに甘えて負担掛けてるのは分かってるし…」
「だから翔ちゃんを捨てて出て行っちゃうって思った?」
ちょっと呆れたような声音にしょんぼりして力なく頷く。
そんな俺を見てカズはもう一度ため息を吐くと、俺のことをまっすぐ見つめた。
「あのね、翔ちゃん。俺は全然負担だなんて思ってないし、負担どころかむしろ翔ちゃんのために色々出来るのが嬉しくて楽しくて、毎日本当に幸せだなって思ってるんだよ?」
そう言って微笑むカズは実はやっぱり天使なんじゃないだろうか。
思わず見惚れてしまうのも当然だろう。
でも、ふいにその天使の瞳が不安げに揺れた。
「…もしかして、翔ちゃんには俺が家事をイヤイヤやってるように見えてた?」
「ちがっ…そんなことないっ…!!」
そんな誤解させたくなくて、慌てて首を横に振って否定する。
カズはいつだって笑顔で、家事をしてる時も本当に楽しそうで。
イヤイヤやってるようになんて全然見えなかったし、そんな風に思ったこともない。
それでも…
「仕事もしてるのに、そのうえ家事に時間も労力も取られて…単純に大変だろうなって思って…」
いくら楽しいと思ってくれていたって体は疲れるだろう。
そんな状態が続けば、やっぱり何もかも嫌になっちゃうんじゃないかと思うんだ。