第21章 幸せな日々
駅から自宅への帰り道、ちょうどうちのリビングの窓が見える場所があって。
ここから家の明かりを確認するのが習慣になってるんだけど、今日もいつもと変わらず明かりが灯っているのが見えて。
心底安心した。
力が抜けてその場に崩れ落ちそうなくらい安心した。
もちろんカズが出て行ってしまって家に居ないかも…なんて俺の妄想でしかなかったんだから、当たり前っちゃ当たり前なんだけど。
少し気持ちに余裕を取り戻して、それでも急ぎ足で帰りついた我が家。
玄関の鍵を開けると、すぐにパタパタとスリッパを鳴らしながらカズが出迎えに来てくれた。
「おかえりなさい♡今日は早かったね♡」
「……ただいま」
にこにこ笑う可愛いカズ。
家中に漂っている美味しそうな匂い。
「今晩は炊き込みご飯と肉じゃがだよ♡あ、先にお風呂入る?」
いつもと何ら変わりない幸せなやり取り。
でもこれは当たり前じゃないんだ。
カズが頑張ってくれてるからある幸せなんだ。
この幸せを失いたくない。
でも今のままじゃ失うかもしれない。
再び恐怖に襲われて、目の前のカズをぎゅうっと抱きしめた。
「カズぅ…」
「翔ちゃん?」
いつもならテンション高くただいまのちゅーをするのに、カズを抱きしめたまま動かなくなった俺に、カズはちょっと不思議そうにしてたけど。
「いつもカズに負担ばっかり掛けてごめん…本当にごめんね…」
急に謝りだした俺に目を丸くした。