第21章 幸せな日々

「でも、それは俺がやだったの。俺もちゃんと働いて自立して、その上で翔ちゃんと2人支え合って生きていきたいと思ったの」

俺の夢は即否定されてしまったけど、特にショックを受けたりはしなかった。

だってカズの性格を考えれば、俺に養われることを良しとしないだろうって分かってたから。

むしろ俺もカズのことちゃんと理解出来てるじゃんってちょっと嬉しくなったりして。

でもカズは申し訳なさそうに頭を下げた。

「俺は翔ちゃんより自分の気持ちを優先したの。ごめんね」

そんなこと全然ないのに。絶対ないのに。

自分が悪いと謝るカズはどこまでも俺への愛に溢れていて。

もうこれ以上なんてないと思うくらいカズのことが好きなのに、またカズのことを好きになる。

「俺、家のことも仕事も、両立して頑張るからね！」

小さく拳を握ってやる気を漲らせるカズはやっぱりめちゃくちゃ可愛くて。

「俺も頑張るから、2人で一緒に頑張ろうね」

もう一度しっかり抱き締め直してそう伝えると、カズは本当に嬉しそうに笑った。

俺の大好きな花が咲いたような笑顔。

その笑顔を見つめながら、ここまで俺を想ってくれているカズのことを今まで以上に大切にしようと心に誓った。

そう、確かに誓ったはずだったのに…

なにが“俺も頑張る”だ。

潤の言葉にここまで動揺するのは、カズの優しさに甘えて負担を掛けていた自覚があるからだ。

ほんと何やってんだ、俺は…