第21章 幸せな日々
そして、ある日突然、智くんの怒りが爆発した。
いや、きっと智くんからしたら突然じゃなくて。静かに怒りが積もり積もっていたんだろうけど。
ある時、智くんにちょっと座ってと促されて。
よく分からないまま向かい合って座った潤に
「ねぇ、いつの間に家事が全部俺の仕事になったの?」
そう切り出した智くんは無表情で、声を荒らげるでもなく、一見怒っているようには見えなかったらしい。
でもその声は冷えきっていて、その目には明らかに怒りが浮かんでいて。
ヤバいと思ったものの時既に遅し。
俺が毎日家で遊んでると思ってんの?
俺だって仕事してるんだけど。
俺たち対等な立場なんじゃないの?
大変な時に助け合うのは全然構わない。
むしろそういう関係でありたい。
でも今の状況はちがうよね。
こんな俺だけ一方的に負担を負うなんておかしいって潤は思わないの?
知ってる?俺だって今、忙しいんだよ?
相手を思いやれないようなやつとは、これ以上一緒に暮らせない。暮らしたくない。
潤に一切口を挟ませず、淡々と家を出ていくと告げる智くんは、それはそれは恐ろしかったそうだ。
軽い気持ちで智くんに甘えていた潤は猛烈に反省して。
誠心誠意謝って謝って謝り倒して、何とか智くんに同棲解消を思いとどまってもらい。
仲直りした後は即態度を改め、今は忙しい智くんのためせっせと家事に勤しんでいるようだ。