第21章 幸せな日々
じとっと睨む俺を潤は軽くスルーして。
「まぁ上手くやってるみたいだけど、翔も家事とかしてるか?」
突然変えられた話題に、睨むのを忘れて瞬間的に目を逸らしてしまった。
「あー…まぁ、皿洗いとか、風呂掃除とか…一応してるよ。出来る時だけだけど、手伝ってる…」
答える声は我ながら小さい。
「ニノがやる頻度のが高いだろ?」
「それは…そう、だけど…」
カズに頼ってしまっている自覚は嫌ってほどある。
淡々と詰めてくる潤にタジタジしつつ、それでも素直に認めるのはなんとなく癪で。
「……あ!ごみ捨ては俺がやってる!今朝も捨ててきた!」
「ごみ集めるとこからやってるか?まとめてあるものを捨てるだけじゃ、そんな胸張ってしてるって言えないからな?」
必死に考えて、やっと自信を持ってやってると言えることを見つけたと思ったのに、潤は容赦なかった。
「うぅ···」
確かに、ゴミをまとめてくれてるのはカズで。
俺は毎朝カズから手渡されるゴミ袋を運んでるだけだ。
涙目になる俺に潤は更に追い討ちをかけてくる。
「大体さ、手伝うっていう考えがダメだろ。完全に家事はニノの仕事だって思っちゃってんじゃん。どっちも働いてて、立場は対等なはずなのに」
その言葉に、ガツンと頭を殴られたみたいだった。
本当にその通りだ。
いつの間にか俺の中で家事はカズがやってくれるものになってて。
俺だって出来ることはしてるつもりだけど、あくまで家事の主体はカズ。俺は手伝ってるって感覚だった。
潤の言うことが正論すぎて何も言えない。