第21章 幸せな日々
駅のホームで電車を待っていたら、後ろからポンと肩を叩かれた。
「おはよ」
「お、潤。おはよう」
振り向けばそこに居たのは今日も朝からキリリと男前な潤。
別に待ち合わせとかしてた訳じゃないけど、特に驚いたりはしない。
よくあることだからだ。
潤と智くんも俺たちと同じタイミングで同棲を始めたんだけど。
お互いの家が近いから、何も約束とかしてなくても結構な頻度で顔を合わせる。
今みたいに駅でとか、スーパーでとか。
道を歩いてるだけでもばったり会ったりする。
あ、もちろん近所なのは偶然じゃないよ。
いつの間にかカズと智くんが、同棲をする時には近所に住もうねって約束をしてたらしくて。
なんなら家探しも一緒にしたからね。
さすがに同じマンションは空きがなくて無理だったけど、いわゆるスープの冷めない距離でお互い納得いく物件を見つけられたから良かった。
当然、雅紀と風間にも声は掛けたよ。
でも雅紀の会社が遠くて無理だった。
めちゃくちゃ残念がってたけど、こればっかりは仕方ない。
ちなみに俺たちの家はカズの会社近くで探した。
あまり体力のないカズに無理させたくなかったからね。あと、あまりカズを1人で電車に乗せたくなかったし。
「いやいや、ニノはほとんど在宅なんだろ!?」とか、潤はごちゃごちゃ言ってたけど。
最初の研修期間中は毎日出社してたし、今だって全く出社がないわけじゃない。
当の本人は、みんなの会社の真ん中あたりで探そうよとか言ってたけどね。
それは俺と智くんとで黙殺させてもらった。