第21章 幸せな日々
家にいる時間が長いのと、俺の家事能力が低いせいで、家事の大半を引き受けてくれてるカズ。
もちろん俺も出来る限りのことはしてる…つもり、だけど。
でも絶対的にカズの負担が大きいのが実情で、いつも大変申し訳ないと思ってる。
「色々任せちゃっててごめんね」
「俺には通勤時間がないもん。それに無理はしてないよ。手を抜けるところは抜かせてもらってるから大丈夫」
カズはそう言って笑うけど。
家にいるってだけで、カズだって仕事をしてるんだ。
その上で家事をほぼ一手に引き受けて。
朝は早起きして朝食だけじゃなく、こうやってお弁当まで作ってくれて。
俺が帰宅すれば、あったかい夜ごはんが出来てて、お風呂も沸いてて。
カズは手を抜いてるって言うけど、どう見ても抜いてない。むしろ頑張り過ぎだと思う。
本当にどんなに感謝してもしたりない。
「本当にありがとう、カズ」
俺にくっついてるカズをぎゅっと抱き締めたら、また離れたくなくなった。
「あー、会社行きたくない…カズと離れたくないよ…」
「もう、翔ちゃんてば」
カズを腕の中に閉じ込めたままごねる俺を見てクスクス笑うカズが可愛い。
でもちらりと時計に目をやれば、そろそろ本気でヤバい時間で。
「行きたくないけど、行ってきます…」
「ふふ、いってらっしゃい♡早く帰ってきてね♡」
渋々手を緩めた俺の頬に、カズがいってらっしゃいのキスをくれた。
それだけで気分が上がる俺。
我ながら単純だけど、幸せだからいいんだ!