第21章 幸せな日々
美味しい朝食をカズと向き合って食べて、片付けは2人で。
あまり得意じゃない皿洗いだって、隣にカズがいれば楽しい。
でも幸せな時間は過ぎるのが早いもので。
あっという間に家を出る時間が迫ってきて、最近やっと着慣れてきたスーツに着替える。
ネクタイを結ぶのは今でもカズ。
高校時代の約束通り、カズ以外には触れさせたことのないネクタイ。
今も変わらずカズが結んでくれていることが嬉しい。
「翔ちゃん、これ」
玄関まで見送りに来てくれたカズから手渡されたのは、カズお手製のお弁当。
カズは毎日めちゃくちゃ美味しいお弁当を作ってくれて。
これがあるからどんなに忙しい日だって頑張れていると言っても過言ではない。
「ありがとう!」
「どういたしまして♡あとね…」
お弁当に続いて、そっと差し出されたのはゴミ袋。
「ごみ捨てお願いしていい?」
「もちろん!」
可愛い上目遣いでのお願いに即答する。
出勤ついでにマンション内のゴミ置き場に寄るだけだ。
そんなの負担でも何でもない。
快諾して受け取ればカズは嬉しそうにぎゅっと抱きついてくれた。
「いつもありがと♡」
「それは俺のセリフだよ。いつもありがとう、カズ」
こうして見送ってくれてるカズだけど、カズだってこの後仕事だ。
ただ、カズは基本的に家で仕事をしていて、出社するのは月に数回なんだ。