第21章 幸せな日々
一瞬で頬をピンクに染めたカズが可愛くて可愛くて、もう一生離したくないと思ったけれど。
気付けばフライパンからちょっと香ばしい匂いがしてきてて。
カズは慌てて俺の腕からすり抜けて行った。
寂しいけれど仕方ない。
カズが早起きして作ってくれてる朝食を、俺のワガママで台無しにしていいはずがないもんな。
「もう出来るから、あとちょっとだけ待っててね」
無事焦げる前に救出出来たらしい目玉焼きをお皿に盛り付けながら、カズが再びテキパキ動き出した。
「何か俺に手伝えることある?」
こういう時、何も言わずにサッと手伝えたらスマートだなって思うんだけど。
一向に家事スキルが上がらない俺が下手に手を出すと邪魔になるだけだというのは学習済。
「それじゃ、飲み物の準備お願いしていい?」
カズはちょっと申し訳なさそうな顔をしたけど、仕事を与えてもらえた俺は嬉しい。
日によって和食だったり洋食だったり、特に決まっていない我が家の朝食。
カズの手元を覗き込んで、今日はパンだと確認して。
「任せて!コーヒー淹れるね!」
いそいそとお揃いのマグカップを準備する。
まぁ、淹れてくれるのは機械なんだけど。
俺はスイッチ押すだけなんだけど。
「ありがと、翔ちゃん♡」
子どもでも出来るようなお手伝いなのに、カズは嬉しそうに喜んでくれて。
その笑顔に俺も嬉しくなる幸せのループ。
ああ、今朝も本当に本当に幸せだ!!