第21章 幸せな日々
さて、今朝は珍しくカズに起こしてもらう前に目が覚めた訳だけれど、どうしようかな…
選択肢は2つ。
素直に起きるか、このまま寝たふりを続けて起こしてもらうのを待つか…
悩んだのはほんの一瞬。
カズがいない寂しさを抱えたまま1人寝たふりを続けるより、1秒でも早くカズの顔が見たい。
可愛いカズの笑顔を頭に思い浮かべたらもう居ても立ってもいられなくなって、いそいそとベッドから抜け出した。
まっすぐキッチンに向かうと、パジャマの上にエプロンをつけて、髪の毛にはくしゃっと寝癖がついたままのカズがフライパンに卵を割り入れてるところだった。
まだちょっと眠そうな顔をしてるけど、小さく鼻歌を歌っててご機嫌な様子なのが可愛い。
邪魔をしないように、少し離れた場所からしばらく可愛いカズを眺めて。
包丁や火から離れたタイミングを見計らってからそっと近づいて、後ろからぎゅっと抱きしめた。
万が一にもカズに怪我させる訳にはいかないからね。
「おはよ、カズ」
そんなに広いわけではない我が家だ。
当然俺の存在に気付いていたカズは、驚いた様子もなく体の力を抜いて俺にもたれ掛かるとにっこり笑った。
俺の恋人は今朝も最高に可愛い。
「おはよ、今日は早起きさんだねぇ」
普段はどちらかと言うと早口なカズが、朝はちょっぴり舌っ足らずになってゆったり喋るのがまた可愛い。
「カズ…」
「ん?」
軽く振り返ったカズの頬に、今朝は俺からおはようのキスを送った。