第20章 卒業式
翔ちゃんの手に自分の手を重ねて、しっかりと翔ちゃんと目を合わせる。
「……それはさ、何だかんだ言っても翔ちゃんのこと信じてるからだよ」
「え?」
「自分に自信がないからどうしても不安になっちゃったりするけど。それでも翔ちゃんのことは信じてるの。俺がなにを言っても翔ちゃんの愛は揺るがないって、本当はちゃんとわかってるの」
俺がどんな翔ちゃんだって大好きなように。
翔ちゃんも、どんな俺を見せたって受け止めてくれるって信じてるんだ。
何を言われたのかすぐに理解出来なかったのか、翔ちゃんはしばらくキョトンとしてたけど。
そのうち、じわじわとその頬が上気していって。
「カズっ…」
感動したように言葉を詰まらせると、その代わりと言わんばかりに俺のことをぎゅっと抱きしめた。
「ありがとうっ、すごく嬉しいよ!」
その腕の強さとちょっと上擦った声から翔ちゃんの感激が伝わってきて、俺も嬉しくなる。
でも、ちょっと引っかかることもある。
だってこれだと、翔ちゃんが俺のことを信じきれないのは、やっぱり俺が愛を伝えきれてないからってことになるもん。
もちろんもともとの性格もあると思うけど、なんか俺の愛が足りないみたいで悔しい。
「いつか翔ちゃんも、俺が翔ちゃんのこと信じてるのと同じくらい俺のこと信じてね」
これからも、たくさんたくさん言葉と態度で愛を伝えていくから…
「いや!だから決してカズを信じていないわけじゃなくて!」
翔ちゃんにぎゅっとしがみついてお願いしてみたら、翔ちゃんは慌てて言い訳を始めたけど。
翔ちゃんが何も考えずに信じられるくらい頑張るぞ!と、翔ちゃんの腕の中で決意を新たにした。