第20章 卒業式
翔ちゃんは何故か自分に自信がないみたいだけど、ちょっとヘタレだって心配性だって翔ちゃんは文句なしにカッコいい。
ちょっとのマイナス面なんて可愛いチャームポイントにしかならない。
そんな翔ちゃんの恋人が可愛げのない俺でいいのかなって。
釣り合い全然取れてないんじゃないかなって。
小さな不安はずっと心の片隅にあって消えなかった。
どっちかというと、翔ちゃんより俺の方が不安な気持ちは大きいんじゃないかと思う。
もちろん翔ちゃんのことは信じてる。
信じてるけど、それでも答えを聞くのがこわくて。
俯いて何を言われてもいいように身構えてたけど。
「何言ってるの!!」
まるで怒ってるみたいな大きな声を出されて、びっくりして思わず顔を上げてしまった。
バチッと目が合った翔ちゃんはこわいくらい真剣な顔をしていて、目を逸らすことが出来ない。
もしかして本当に怒られるのかとビクビクしてしまう。
でも…
「どんなカズだって、カズは可愛いよ!!」
口調は確かに怒ってるみたいなのに、言ってる内容は思ってたのと全然ちがった。
「そりゃ、笑顔が1番だから出来ればいつだって幸せに笑ってて欲しいけど…たとえ怒ってたって泣いてたってカズは世界一可愛い!!いや、宇宙一可愛い!!」
翔ちゃんの剣幕にのまれて、ちょっと呆然としちゃってたけど。
何を言われてるのか理解したらさすがに恥ずかしくなって。
「そんなわけ…」
「あるよ!!カズは可愛い!!誰よりも何よりも可愛い!!」
否定しようとしたのに翔ちゃんは最後まで言わせてくれない。
目を合わせたまま力いっぱい断言されてカーッと顔が熱くなった。