第20章 卒業式
「カ、カズ…?」
激怒してたはずなのに突然笑い出した俺についてこれず、翔ちゃんは戸惑ってるみたいだけど。
俺の笑いはすぐにはおさまらない。
だってさ、俺たちこの短時間に何回同じようなやり取り繰り返してんのよ?
冷静に考えたらすごくばかみたいだ。
きっと翔ちゃんのこういう所は治らないだろう。
翔ちゃんは心配性だから、ちょっとしたことですぐ不安になっちゃうし。
真面目だから、過ぎたことでもいつまでも気にしちゃう。
でも、それもこれも、それくらい俺のことが好きだからだと思えば愛おしい。
笑うのをやめて大好きな翔ちゃんをまっすぐに見つめる。
「隣にいるに決まってるでしょ。何度も言ってるじゃん。俺は情けない翔ちゃんもかっこ悪い翔ちゃんも、どんな翔ちゃんも大好きだって」
胸を張って伝えれば、翔ちゃんはホッと息を吐いて安心したようにへにゃりと眉毛を下げた。
だいたい、こんなすぐ怒っちゃう俺もダメなんだよね。
翔ちゃんの不安が消えるまで想いを伝え続けるんだって決意したばっかなのにね。
でも、すぐ怒っちゃうのは不安の裏返し。
本当は俺だって不安なんだ。
「逆に聞くけど、翔ちゃんこそいやじゃないの?恋人がこんなすぐ怒って泣いて悪態つくような、面倒くさくて可愛くないやつで…」
自分で口にしながら、本当にやだって言われたらどうしようって思ってちょっとだけ震える。
だって、翔ちゃんはいつも俺のこと可愛い可愛いって言ってくれるけど、実際の俺は全然可愛くもなんともない。
それは自分が1番よくわかってるから。