第20章 卒業式
涙がとまる頃には頭もちょっと冷えてきて。
またしても感情のままに怒って泣いてしまったことが今更ながら恥ずかしくなってきた。
「カズ…」
翔ちゃんが心配してくれてるのはわかってるんだけど、気まずくて顔があげられない。
それでも無視できないくらいの視線に負けてちょっとだけ目線を上げてみたら、翔ちゃんはものすごく不安そうな顔をしていた。
あれ?てっきり心配してくれてるんだろうと思ったのに、なんかちがうっぽい?
「翔ちゃん?」
何でそんな顔をしてるのかわからなくて。
恥ずかしかったのも忘れて翔ちゃんをじっと見つめたら、翔ちゃんはちょっとたじろいで。
意味もなくあちこちに視線をさ迷わせていたけど。
「……高校生活最後の最後にカズのこと泣かせちゃう大バカな俺だけど、これからも隣にいてくれる?」
やっと口を開いたかと思えば、そんなことを聞いてくるからあっという間に怒りが再燃した。
「もう!!なんでまたそんなこと言うの!?」
反射的に叫んだ俺に翔ちゃんはビクッと肩を震わせて。
「ごめん!ごめん!…でもさ、あの…えっと…」
必死に謝りつつ、それでもまだモゴモゴ言うから。
「今まで何度も何度も何度も何度もどんな翔ちゃんだって大好きだって伝えてきたよね!?なんなら、つい今さっきも言ったよね!?それなのに、まだ俺のこと疑うの!?」
「ちがうよ!カズのことは信じてる!そうじゃなくて…」
「そうじゃないならなんなの!?」
怒りがおさまらなくて、どうしても口調がきつくなってしまう。
でも…
「ごめん、カズ…本当にカズのこと信じてないとかじゃないんだ…本当に、本当にそうじゃなくて…」
ものすごーく情けない顔でオロオロしてる翔ちゃんを見てたら、だんだん怒ってるのが馬鹿らしくなってきて。
なんならちょっと笑えてきた。