第20章 卒業式
「そんなこと出来るわけない…そもそもカズは何も悪くないんだから…怒りも責める気持ちも欠片もないし…」
「それは俺も同じなの!!」
予想通りの翔ちゃんの答えにますます腹が立って、途中で遮ってしまう。
「さっきから何度も言ってるじゃん!お互いさまだから気にしないでって!俺だって怒ってないし責める気もない!どうして分かってくれないの?」
怒りながら悲しくなってきた。
目頭が熱くなって、鼻の奥がつんとする。
「俺だって後悔してるし、反省もしてるよ。でもいつまでも過去に囚われてたってしょうがないじゃん…だから、もう二度と翔ちゃんを傷つけるようなことはしないって心に決めて今を楽しんでるのに…翔ちゃんも同じだと思ってたのに…何で今になってそんなこと言うの…」
泣きたくなんてないのに、涙がこぼれそう。
でも涙を拭こうと持ち上げた手は翔ちゃんに捕まって、気づいたら翔ちゃんの胸に抱き込まれてた。
「ごめん!ごめん、カズ!」
必死な謝罪が直接耳に届く。
その声はさっきまでのウジウジした声じゃなくて。
やっと俺の言葉が翔ちゃんの心に届いたんだって思ったら、ガマンしてた涙がポロリとこぼれ落ちた。
「カズと思い出巡りしてたら色んなことを思い出しちゃって、当時の感情に引きずられてた」
「翔ちゃんのばかぁ…」
「本当にバカだね、俺。いくら過去を悔やんでたって、それで今カズを泣かせるなんて最低だ…本当にごめん…」
泣きながら悪態をつく俺に怒ることなく、翔ちゃんは俺が泣き止むまで何度も何度も謝り続けてくれた。