第20章 卒業式
なんでこんなに頑ななんだろ。
もしかして、同じように翔ちゃんを傷つけたのに、もう気にしてない俺がおかしいの?
でもさ、あれから2年も経つんだよ?
いつまでもただ落ち込んで、ウジウジしてたっていいことなんて何もないじゃん。
大切なのは失敗から学んで同じ間違いを繰り返さないようにすることなんじゃないの?
それに、翔ちゃんは俺のこと傷つけた傷つけたって言うけどさ。
どっちかっていうと、そんな過去のことより今、俺の言うことを翔ちゃんが全然信じてくれないことに傷ついてるんだけど。
それってどうなのよ?
「ねぇ、翔ちゃんがものすごく後悔してるのはわかったけどさ。じゃあ、俺はどうしたらいいの?ひどいって泣けばいいの?怒ればいいの?責めればいいの?どうしたら翔ちゃんの罪悪感は消えるの?翔ちゃんが納得する方法を教えてよ、その通りにするから」
なんかだんだん腹が立ってきて、我ながら冷たい声が出た。
俺の怒りはしっかり伝わったようで、翔ちゃんの顔色がサッと変わる。
でも何も言わせない。
翔ちゃんが口を開くより先に畳みかける。
「でも同じこと翔ちゃんにもやってもらうからね!俺だって翔ちゃんを傷つけたんだから、俺のこと責めて怒ってよ?逃げるなんて最低だって、詰って罵って!」
早口でまくし立てながらキッとにらむ俺を見て、翔ちゃんはしばらく呆然としてたけど。
やがてノロノロと首を横に振った。