第20章 卒業式
あの日のことを思い出すと今も胸が震える。
俺は逃げようとしてた。
友だちでいいから、ずっと翔ちゃんのそばにいたいと思ってたくせに。
翔ちゃんに好きな人がいるなら、その恋を応援するんだって言ってたくせに。
いざ、本当に恋人が出来るかもって状況になったら…無理だった。
友だちとして隣にいられるだけでいい、それ以上のことは求めないって本気で思ってたはずなのに。
実際は覚悟なんて全然出来てなくて。
翔ちゃんと俺じゃない誰かとの恋を一番近くで見続けるなんて耐えられなかった。
だから逃げた。
翔ちゃんのためとかズルい言い訳して。
本当は自分が傷つきたくなかっただけのくせに。
なのに、そんな弱くて卑怯な俺を翔ちゃんは追いかけて来てくれた。
最後まで逃げようとした俺を捕まえて、告白してくれた。
だから俺も自分の気持ちを伝えることができた。
一生叶うことのないと思ってた想いが届いた日。
「まさか翔ちゃんと両想いだなんて想像もしてなかったから、夢みたいだった。本当に嬉しかった」
まぁ、翔ちゃんは告白の後に泣いちゃったから恥ずかしいのかもしれないけど。
俺は初めて翔ちゃんの涙を見て、翔ちゃんがどれくらい俺のこと想ってくれていたのかを知った。
「今の幸せなこの関係があるのは翔ちゃんのおかげなんだよ?」
だからもう過去を悔やんで自分を責めるのはやめてほしい。