第20章 卒業式
でも、俺をこんなに幸せな気持ちにしてくれたのに、その翔ちゃんはいつの間にかまた情けない顔に戻っちゃってて。
「丸山の件をきっかけに仲良くなれた後も、今度はやっと掴んだ友人の座を失いたくなくて。カズが一番の友だちだって言ってくれたその関係を壊すのが怖くて。告白する勇気なんてなかった」
翔ちゃんは肩を落として項垂れてるけど、その告白を聞いて俺が思ったことといえば…
俺の目には翔ちゃんはいつだって余裕があるように見えてたけど、実は初めての恋に戸惑ってオロオロしてたなんてめちゃくちゃ可愛い!!
そんな可愛い翔ちゃんに全然気づいてなかったなんて、なんかもったいなかったなぁ…
でもしょうがないよね、俺だって初めての恋にいっぱいいっぱいだったんだもん。自分のことだけで手一杯で余裕なんてなかったよね。
でもでも、やっぱり可愛い翔ちゃん見たかったなぁ…なんて。
そんなのんきなことだけなのに。
「結局あんなに拗れて追い詰められるまで自分の気持ちを伝えられなかった。俺がヘタレなせいでカズまで傷つけて苦しめた…本当にごめん…」
翔ちゃんは今でも悔やんでいるのかすごく苦しそうな顔をしてて。
慌てて落ち込む翔ちゃんをぎゅっと抱きしめた。