第20章 卒業式
「俺さ、カズが初恋なんだ」
「え?」
え!?
翔ちゃんの告白にまたまたびっくりして今度は固まってしまった。
だって、うそでしょ?
初恋?俺が?翔ちゃんの?
確かにさ、翔ちゃんと付き合い始めるずっと前に、誰とも付き合ったことがないって聞いたことあったけど。
でも、まさか俺が翔ちゃんの初恋だったなんて…
あんなに男女問わずモテモテで。可愛い子や綺麗な子がたくさん周りにいただろうに。
本当に俺が初恋なの?
一目惚れってだけでもびっくりなのに、初恋だなんて…
「うそみたい…」
「嘘じゃないよ」
あまりにも信じられなくて思わず呟いちゃったけど、それは翔ちゃんに即否定された。
「初恋が高校生になってからなんてちょっと遅いかもしれないけど…あの日、俺はカズに生まれて初めての一目惚れをして、初めての恋をしたんだよ」
真っ赤な顔で真剣に伝えてくれる翔ちゃんが嘘をついてるようには見えない。
そもそも、翔ちゃんは俺に嘘なんかつかないし。
……っていうことは、本当に本当なんだ。
本当に俺が翔ちゃんの初恋なんだ。
「初めての恋でどうしたらいいか分からなくて、声も掛けられなくて…カズに恋をして、初めて自分がこんなにヘタレだったって知ったよ…」
恥ずかしそうにはにかむ翔ちゃんに胸がきゅんとする。
こんなにカッコいい王子さまみたいな翔ちゃんに初恋で一目惚れしてもらえるなんて…
信じられないけど、すごくすごく嬉しい。
幸せすぎてなんだか夢を見てるみたい。