第2章 誕生祝い to Nino
翔ちゃんは気付いてないみたいだけど、風間は雅紀のことを好きだと俺は思ってて。
だっていつも雅紀にそっと寄り添ってさ。
常に気にかけて、さりげなくフォローしてて。
その姿はまるで奥さんみたいなんだ。
本当にさりげないから、雅紀は全く気付いてなくて。
そうしてもらうのが当たり前みたいな顔して世話焼いてもらってるけど。
全然当たり前じゃないから!
そんなの雅紀のこと本当に好きじゃなきゃ出来ないんだから!
鈍い雅紀をどついてやりたい!
……まぁ、そんな感じで。
見てるだけでも、風間は雅紀のこと好きなんだろうなって気付いてたけど。
同じクラスになって前より距離が近付いてから、一度だけ雅紀のマネして“風ぽん”って呼んでみたことがあって。
もちろんふざけてだったんだけど、その時風間が何とも言えない顔をしたんだ。
その表情を見てすごく反省した。
風間が口に出してそう言ったわけじゃないけど。
その呼び名は、風間にとってきっとすごく大切なもので。
雅紀だけが使える特別な呼び方なんだ。
俺だって、俺以外が“翔ちゃん”って呼ぶのめちゃめちゃ嫌だもん。
“カズ”って呼ばれたいのも翔ちゃんからだけ。
ふざけてだって絶対やだ!
それが誰であってもやだ!
自分がされてイヤなことは人にしちゃダメに決まってる。
だからもう二度と口にしないって決めた。
それと同時に風間の気持ちに確信を持って。
ずっと密かに応援してる。
だってちょっと前の自分を見てるみたいなんだもん。
好きで好きで、ずっと隣にいたくて。
でも恋人になんかなれるわけないって思い込んで。
気持ちがバレて嫌われるくらいなら、ずっと友だちでいいって。
…そう思ってた頃の自分。
でもね、色々あったけど。
たくさん泣いた後には、こんな幸せな未来が待ってたんだよ?
だから風間も頑張ってほしい。
雅紀は鈍いから手強そうだけど、風間のこと特別に思ってるのは確実だから。